【グルメな話】豚の餌 [豚の餌]
本当にうまいものを食べたかったらどうすれば良いのか。
おいしい店をインターネットで探す?グルメ雑誌をめくる?
テレビで紹介された店に行く?前から目をつけていたけど行ったことがない店にいく?
実はうまいものを食べるのに必要なのは空腹の腹だけだ。
それこそ前日の昼から何にも食べず、水しか飲まず、朝の9時ぐらいから腹から音が鳴って、その腹の音を数えて、その腹の音が何回鳴ったかわからなくなったぐらい。
もうヘトヘトで力なく電車に乗って自分の家の最寄り駅について「家に帰っても何か作る気力がない。コンビニ弁当?駄目だ添加物が多い。あんなもの食い物じゃない。ラーメン屋に寄るか?油っぽいものなんか食いたくない。てか外食なんかしたくない。それなら自分で作ろう。冷蔵庫にもの入ってたっけ?そういやないんだ。だから昨日も夕食を作らなかった。スーパーなんか今から立ち寄ったら倒れるな。カップラーメンなんかもってのほかだ。」
そう思ってホームの階段を降りようとすると一軒の立ち食いそば屋があるのが目に入った。
臭い酔っぱらいの匂い。臭い汚物の匂い。ドブみたいな匂い。カツオだしなんて使ってないスープの匂い。
家では決して嗅ぐことがない「醤油なのか?」と思えるような匂い。
すべてが混ざった気持ち悪い空間にある気持ち悪いそば屋。
そばと言っても手打ちなんかじゃない。腰のないヒモみたいな麺。天ぷらはギトギト。安い油の匂い。なぜかコロッケが置いてある。そんなそば屋。
絶対に行きたくないそば屋。あろうことかコンビニ弁当よりも外食よりも最悪なチョイスを俺はした。
普段なら絶対に行かない。
店の客だってただ腹にものを入れることしか考えてない。
だいたい飯を食うっていうのに立って食うなんてありえない。
豚には申し訳ないが豚の餌やり場と一緒。ただ食う。
味なんて二の次。ただ食う。そんな人が行く店:立ち食いそば屋。
店主は大概無言で愛想なんてあったりはしない、そもそも客だなんて思ってない。
当然だ。だってここは豚の餌やり場。客は豚だ。
客が神様だなんて思ってるのが店の店主だとしたら、そいつにとって豚は神ってことになっちまう。
もしそうだとしたら店主は壁一面に豚の写真を飾るだろう。それこそブッタの写真を飾る仏教徒みたいに。
だが立ち食いそば屋で豚の写真を飾ってる店をみたことがあるか。ないだろ。
だって客は神じゃなくて豚なんだから。店主は豚を豚としか見てない。だから愛想が悪いのだ。
いよいよフラフラしながら店に入ると「らっしゃーい」の声もない。
店員は仏頂面で待ってる。何を?注文に決まってる。
「かけそばひとつ」
言いながら230円出す。
「レジあっち。」「そ。」「ねぎは?」「食える。」「はい。」かけそばを受け取る。
「悪いけどトレイ載せてくれる?」
「は?トレイなんてどこ・・・あ、あったあった」
客は俺一人。
店のなかにあるでっかい円卓。壁沿いに生えたようにあるカウンター・テーブル。
誰が壁見ながら飯なんてくえるか。俺はメンヘラ処女か。壁とお話なんてできない。円卓を選ぶ。
厨房を正面にする形でそばを載せたトレイを置く。
「230円」「知ってる、どうも。」
適当に一味をかけて食う。スープを飲もうと思ったが迷った。だってこの器何人もの豚たちが口を付けたんだろ。あ、俺も同類か。
口をつける。スープを飲む。あれ?うまい。これならいくらでも入る。そう思った。
食べる前あんなに臭いと思ってたスープが一口飲んだ後はうまい香りがしているように思えた。
麺を食う。
中国産のなんの木を使っているかわかったものじゃない木を切り取って作った危ない割り箸を使って。
輪ゴムを伸ばしたような麺。噛まなくても唇で切れる麺。まずい麺。それがおいしいと思った。
ものの1分ぐらいで綺麗にスープまで飲み干し、「おかわりくれ」店員は黙って器を受け取ってつゆを入れた。
「しかし、なんでコロッケなんかそばに入れるんだ?コロッケなんてソースかけて白米かパンに挟むものだろう。」トッピングの陳列台を見ながら言ってみた。
「俺もそれは思うよ。」店員がしゃべった。
しかもタメ口で。
あ、そうか。俺は今豚だった。がっつく豚。豚としゃべってくれるだけマシだ。結局2杯めのそばはまずかった。想像してた味だった。このように、空腹であれば豚の飯でもうまいってことだ。
だから本当にうまい飯が食いたいなら腹をすかせるほど働かないといけないってこと。
くま
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テレビで紹介された店に行く?前から目をつけていたけど行ったことがない店にいく?
実はうまいものを食べるのに必要なのは空腹の腹だけだ。
それこそ前日の昼から何にも食べず、水しか飲まず、朝の9時ぐらいから腹から音が鳴って、その腹の音を数えて、その腹の音が何回鳴ったかわからなくなったぐらい。
もうヘトヘトで力なく電車に乗って自分の家の最寄り駅について「家に帰っても何か作る気力がない。コンビニ弁当?駄目だ添加物が多い。あんなもの食い物じゃない。ラーメン屋に寄るか?油っぽいものなんか食いたくない。てか外食なんかしたくない。それなら自分で作ろう。冷蔵庫にもの入ってたっけ?そういやないんだ。だから昨日も夕食を作らなかった。スーパーなんか今から立ち寄ったら倒れるな。カップラーメンなんかもってのほかだ。」
そう思ってホームの階段を降りようとすると一軒の立ち食いそば屋があるのが目に入った。
臭い酔っぱらいの匂い。臭い汚物の匂い。ドブみたいな匂い。カツオだしなんて使ってないスープの匂い。
家では決して嗅ぐことがない「醤油なのか?」と思えるような匂い。
すべてが混ざった気持ち悪い空間にある気持ち悪いそば屋。
そばと言っても手打ちなんかじゃない。腰のないヒモみたいな麺。天ぷらはギトギト。安い油の匂い。なぜかコロッケが置いてある。そんなそば屋。
絶対に行きたくないそば屋。あろうことかコンビニ弁当よりも外食よりも最悪なチョイスを俺はした。
普段なら絶対に行かない。
店の客だってただ腹にものを入れることしか考えてない。
だいたい飯を食うっていうのに立って食うなんてありえない。
豚には申し訳ないが豚の餌やり場と一緒。ただ食う。
味なんて二の次。ただ食う。そんな人が行く店:立ち食いそば屋。
店主は大概無言で愛想なんてあったりはしない、そもそも客だなんて思ってない。
当然だ。だってここは豚の餌やり場。客は豚だ。
客が神様だなんて思ってるのが店の店主だとしたら、そいつにとって豚は神ってことになっちまう。
もしそうだとしたら店主は壁一面に豚の写真を飾るだろう。それこそブッタの写真を飾る仏教徒みたいに。
だが立ち食いそば屋で豚の写真を飾ってる店をみたことがあるか。ないだろ。
だって客は神じゃなくて豚なんだから。店主は豚を豚としか見てない。だから愛想が悪いのだ。
いよいよフラフラしながら店に入ると「らっしゃーい」の声もない。
店員は仏頂面で待ってる。何を?注文に決まってる。
「かけそばひとつ」
言いながら230円出す。
「レジあっち。」「そ。」「ねぎは?」「食える。」「はい。」かけそばを受け取る。
「悪いけどトレイ載せてくれる?」
「は?トレイなんてどこ・・・あ、あったあった」
客は俺一人。
店のなかにあるでっかい円卓。壁沿いに生えたようにあるカウンター・テーブル。
誰が壁見ながら飯なんてくえるか。俺はメンヘラ処女か。壁とお話なんてできない。円卓を選ぶ。
厨房を正面にする形でそばを載せたトレイを置く。
「230円」「知ってる、どうも。」
適当に一味をかけて食う。スープを飲もうと思ったが迷った。だってこの器何人もの豚たちが口を付けたんだろ。あ、俺も同類か。
口をつける。スープを飲む。あれ?うまい。これならいくらでも入る。そう思った。
食べる前あんなに臭いと思ってたスープが一口飲んだ後はうまい香りがしているように思えた。
麺を食う。
中国産のなんの木を使っているかわかったものじゃない木を切り取って作った危ない割り箸を使って。
輪ゴムを伸ばしたような麺。噛まなくても唇で切れる麺。まずい麺。それがおいしいと思った。
ものの1分ぐらいで綺麗にスープまで飲み干し、「おかわりくれ」店員は黙って器を受け取ってつゆを入れた。
「しかし、なんでコロッケなんかそばに入れるんだ?コロッケなんてソースかけて白米かパンに挟むものだろう。」トッピングの陳列台を見ながら言ってみた。
「俺もそれは思うよ。」店員がしゃべった。
しかもタメ口で。
あ、そうか。俺は今豚だった。がっつく豚。豚としゃべってくれるだけマシだ。結局2杯めのそばはまずかった。想像してた味だった。このように、空腹であれば豚の飯でもうまいってことだ。
だから本当にうまい飯が食いたいなら腹をすかせるほど働かないといけないってこと。
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